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Channel: ホビヲログ
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7年前、辛かった日のこと

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終電まであとわずか。

急いで職場を出る。
走って駅に向かう。

疾走するぼくは、
キャバクラの客引きたちをいなす。

右足が着地するたびに、ズキズキ痛む虫歯。
そろそろ歯医者に行かなければ、と思いながら走る。

駅につき、階段を上ると、
ちょうど電車が到着した模様。
人々が降りてくる。

流れに逆らいホームへ出て、
閉まる扉に向かう。

左手に「なにか」がかかった気がする。

閉まる扉。
終電に間に合い、
ホッと胸を撫でおろす。

左手を見ると、
固形物のようなもの。

目線をずらし、ズボンを見ると、

!!!!!!!!

ゲロがめっちゃかかってる。
クリーニングしたばかりのスーツに。

よくよくみるとカバンにも。
そして、かなりのボリューム。

ドア越しにホームを見ると、
大量のゲロの跡。
犯人はもうどこかへ消えている。

じたばたしてもはじまらない。

周囲の乗客の反応は見たくない。
そっと、目を閉じる。

足にしっとりとした感触。
ズボンの生地を通って地肌に達した模様。

しばらくすると、
誰かが吐いている音。
見ると、もらいゲロされた様子。

拡散する被害。
被害者のぼくが、加害者の気分。
申し訳ない。

降車駅につき、
駅のトイレに向かう。

トイレットペーパーに水をつけ、
可能な限り汚れを落とそうと試みる。
しかし、紙はぼろぼろになり、
ズボンにはゲロと紙くずとがごちゃまぜになる。
トイレットペーパーは、水に溶ける。

そうこうしているうちに、
駅員さんがやってきた。
「シャッター閉めるんでもう出てください!」

小さくうなづき、
出口へ向かう。
大好きな言葉を思い出しながら。

「辛いという文字がある。もう少しで幸せになれそうな字だ」

明日もがんばろう。


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