PTA(ポール・トーマス・アンダーソン)の監督6作品目「ザ・マスター」を観た。
トム・クルーズが信者として知られるカルト教団がテーマとのことで、どんなお話かと思って観たが、そういう話じゃなかった。自分なりにあらすじをまとめてみる。
狂気を孕んだおじさんが、戦争でタガが外れて、酒・暴力・女に走っておかしくなって行き詰まるが、新興宗教と出逢って、救われるかどうか色々やってみて、てんやわんやする話。
と言ったところだろうか。
主役のホアキン・フェニックスをはじめ、マスター を演じるフィリップ・シーモア・マンも、その奥さん役のエイミー・アダムスも、みなさん狂気を孕んだ演技で、なかなかに恐ろしい。
親切な説明シーンがなくてわかりづらく、さらに、役者のアドリブだったり、虚実入り混じったり、名作のオマージュシーンが挿入されたりと、PTAワールドは相変わらずの好き放題。解釈を観客に任せる感じは嫌いじゃないけど、任せすぎだと思う。
あと、PTAさんは、面白いと思った実際の出来事をちょいちょい入れてくる。それらは、モチーフというより、ドラマをリアルにする役割を担う。面白いから入れただけという説もあるが。
「パンチドランク・ラブ」だと、商品購入で付与されるマイレージが商品代金よりも高いことに気づいて集めまくる男。「マグノリア」だと、ファフロツキーズ。
本作「ザ・マスター」では、カルト教団の姿がそれにあたる。否定的でも、肯定的でもなく、淡々と描かれる教団のリアル。そこには滲み出るような狂気がある。そして、その狂気と対峙する、これまた狂気を孕んだひとりの男。
そんな、狂気と狂気がぶつかり合う物語だったりもする。
もっとも、男とマスターの関係や、ラストシーンのやりとりなど、なかなかにワケがわからない。そのワケをわかろうといろいろ考える楽しみが、PTA作品にはあるのかもしれない。
みなさまも機会があればぜひ。

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あと、「ザ・マスター」のオフィシャルサイトが、また乗っ取られていた。ドメインを手放した配給会社さん、しっかりしてほしい。
このまとめ記事に追加しなきゃ。