「前日の晩ごはんは、九時までに食べてください」
健康診断の注意書きにそうあった。毎回、思うことがある。「ちょっとくらい過ぎても大丈夫だろう」続けて思う。「グレムリンも大丈夫なのだろうか」と。
ジャンルの分類が困難な「グレムリン」
映画「グレムリン」をご存じない方のために、あらすじを説明するとこんな話。
クリスマスに、父親から謎の生物をプレゼントされた青年。育てるにあたって絶対に守らなければならない3つの約束をことごとく破り、かわいいペットはモンスターと化す。そして彼らの襲撃により町は大パニックに陥る。
レンタルショップでは、どのコーナーにおくべきか議論が起きる作品。ホラー、ファンタジー、コメディ、SFなど、ひとつのジャンルにおさまらない物語。そして、最高に面白い。
そりゃ守るの無理だろうという「3つの約束」
謎の生物を飼育する際、青年が、守らなければならなかった約束は次の3つ。
- 日光を当ててはいけない
- 水に触れさせてはいけない
- 12時以降食事を与えてはいけない
幼少期、映画を観た時は違和感なく受け入れたが、後から考えるとどうしても納得がいかない。まぁ、1も2も、そういう生き物だ、と言われたらしょうがない。守るしかない。しかし、3つ目の「食事制限」はおかしくないか。
12時はどこまで正確である必要があるのか。1分、1秒でも過ぎるとダメなのか。何時から食べていいのかも分からない。もし、日付変更線の上で食事をしたらどうなのか。時計のない世界での飼育は不可能なのか。疑問は尽きない。
そして、この約束を破ってしまうと、かわいかった生き物が、信じられないほどに恐ろしいモンスターに変身してしまう。これほどまでに曖昧な約束なのに、破った際の罰則が大きすぎる。
最高の映画なのは、やっぱり脚本が素晴らしいから
これほどに「理不尽な約束」が前提条件の映画。それなのにすべてを受け入れてしまうのは、やはり脚本が素晴らしいからだろう。「嘘をつくときは、大きな嘘をつくべきだ。その方が観客はだまされる」と誰かが言ったらしいが、実際、そういうものなのかもしれない。
ちなみに、本作の脚本を執筆したのは、クリス・コロンバス。彼は「グーニーズ」の脚本も担当。「ホーム・アローン」「ミセス・ダウト」などのコメディ作品を監督した。そして「ハリーポッター」シリーズの製作、監督まで手掛けた映画界の巨匠である。
ちびっこのトラウマになる「恐ろしいシーン」
そんな巨匠が脚本を担当した「グレムリン」。全体的にひどいシーンが続くが、ちびっこにとって大きなトラウマとなるシーンがある。
フィービー・ケイツ演じるヒロインが父親の最後の思い出を独白する場面。「ええ?ええええ?」という内容が語られる。どうしょうもないブラックコメディなのだが、当時ちびっこだったぼくは、かなりの衝撃だった。そして、「クリスマスは、恐ろしいもの」とどこかでインプットされてしまったようだ。
その点においては、クリス・コロンバスを恨んでいる。
映画「グレムリン」で、ぼくがどうしても納得できないこと、まとめ
健康診断の前日は、ちょっとくらい食べるのが遅くなっても大丈夫だと思う。グレムリンはどうかわからないけど。
いずれにしても、健康診断の結果が心配だ。