絶対に感動する、涙する、泣ける、号泣する、そのようにおすすめされる映画がある。そう言われて観ると「それほどでもないな」という感想になる。鑑賞前に期待値を上げて臨む作品は、たいていがっかりするものだ。
というわけで、10人中9人くらいが感動する5作品を、さりげなく紹介する。
1.いまを生きる(1989/米)
全寮制の厳格な名門校に赴任してきた、熱血新米教師と生徒たちの心温まる交流を描いた青春ドラマ作品。
監督:ピーター・ウィアー
出演:ロビン・ウィリアムズ、ロバート・ショーン・レナード、イーサン・ホーク
机の上に立ってもいい
新任教師は、いきなり机の上に立てと言う。困惑する生徒たち。しかし、机の上に立つことで、平凡な日常がひっくり返る。
この映画を観るまでは、ナンセンスだと思っていた。机が壊れる危険性、周囲に対する迷惑、マナーの問題、非常識な行為だと思っていた。小さい頃からそう教えられてきたからだ。
Yahoo!知恵袋でも、悩む親に対し、手厳しい回答が寄せられている。
テーブルの上は立ってはいけない。これは、しっかり叱らなくてはいけませんね。ちょっと、叱りすぎくらい、駄目は駄目と、教えることをお勧めします。
参照:1歳8ヶ月の娘が机の上に立って困ります。 - Yahoo!知恵袋
叱られたこの子が、大きくなって「いまを生きる」を観れば、きっと感動すると思う。「机の上に立ってもいいんだ! 立ったら、いつもと全然違う景色が見えるんだ!」と。
こちらの港区のOLも、机の上に立つのが夢だったという。
今日、オフィスで本当に奇跡的にだれもいない時間があって、兼ねてからの夢、オフィスで机の上に立つ を叶えました めっちゃ嬉しかった。
参照:7月29日(金)夢叶いし日 - 今日の休憩
実を言うとぼくも、オフィスに人がいない時、ひとりで机の上に立ったりしている。そういう人は、けっこういると思う。「いまを生きる」を観れば、その気持がきっとわかるはずだ。
2.ライフ・イズ・ビューティフル(1997/伊)
ナチスの強制収容所に入れられながらも、人間性を失うことなく絶望を乗り越えていく男の姿を描いた感動作。
監督:ロベルト・ベニーニ
主演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ
点数をつけると子供は喜ぶ
戦争を生き抜くため、子供のとるべき行動に点数をつけ、日常をゲームに仕立てあげる父親。1,000点でもらえる戦車ために親子は「奮闘する」。
それに倣って我が家でも導入した。食器を片付けたら10点、宿題したら50点、面白いことを言ったら100点。点数をつけることで日常がゲームとなる。もっとも、点数計算が面倒であり、気分によって配点が異なる。
公共の場で静かにする必要がある時、なにかをやり遂げなければならない時、思い出したように配点をし、その場を乗り越える手助けをする。人生という荒波を乗り越えるために役に立つ子育てライフハックだと思う。
もっとも、子供だましの技なので小学校入学前までしか使えない期間限定ではあるが。
3.グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997/米)
天才的な数学の才能がありながら心に傷を持ったウィルは、生きる張り合いをなくした医者・ショーンと出会い心を開いていく。
監督:ガス・ヴァン・サント
主演:ロビン・ウィリアムズ、マット・デイモン、ベン・アフレック
「放屁」の話題でも、人は泣ける
亡き妻の「寝屁」のエピソードを語り、しんみりする名シーンがある。公の場では、忌み嫌われる「放屁」。それを、もってくるあたりが脚本の妙であり、本作が名作と言われる所以である。
少し前に「寝屁」についてのブログ記事を読み、その中に、感銘を受けたライフハックがあった。
ワイフの寝屁が原因であることは、ほぼ間違いないと思われる。(中略)娘が部屋で屁をかました場合は、ダチョウ倶楽部のネタのように小幅なジャンプをする規律を自らに課すことにした。
参照:ワイフに厳しい自制と規律を求めた件 - 嫁を動かす
この小幅なジャンプ、タイミングを図るのが非常に難しいが、成功するとかなり和む。いつか、公の場で実践する機会に備え、練習を重ねていきたい。
4.ショーシャンクの空に(1994/米)
とある刑務所の受刑者が勝ち取り、分け与えた解放と救い-。誰の心にも静かに、爽やかな感動が訪れる。
監督:フランク・ダラボン
主演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、クランシー・ブラウン
米国の刑務所で服役してはいけない
名作と名高い本作の中で、「まじか〜。。orz」となるシーン。無実の罪で刑務所に収監された主人公は、刑務所内で何度もケツを掘られる(というナレーションがある)。直接的なシーンはないものの、衝撃だった。
屈辱的なシーンがあるからこそ、カタルシスがハンパないのかもしれないが、このシーンを見て、米国の刑務所には絶対に入らないでおこうと思った。そもそも米国に行ったことないけど。
5.ニュー・シネマ・パラダイス(1988/仏=伊)
戦後間もないシチリアの小さな村、唯一の娯楽は映画。映画館を舞台に、少年と映画技師の心の交流を描く。
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ、サルヴァトーレ・カシオ、マリオ・レオナルディ、ジャック・ペラン、アニエーゼ・ナーノ
99日目で立ち去る兵士の気持ち
作中で、恋に悩むトトに、アルフレードが語る寓話。
「昔、ある王様がパーティーを開き、国中の美しい女性が集まった。護衛の兵士が王女の通るのを見て、あまりの美しさに恋に落ちた。だが王女と兵士では身分が違いすぎる。でも護衛は王女に話しかけた。王女なしでは生きていけないと言った。王女は兵士の深い思いに驚いて告げた。
『100日間の間、昼も夜も私のバルコニーの下で待っていてくれたらあなたのものになります』と。兵士はバルコニーの下に飛んでいった。2日、10日、20日がたった。毎晩王女は窓から見たが兵士は動かない。雨の日も風の日も、雪が降っても、鳥が糞をしても蜂が刺しても兵士は動かなかった。
90日が過ぎた頃には、兵士は干からびて真っ白になってた。眼からは涙が滴り落ちた。涙を押さえる力もなかった。眠る気力すらなかった。王女はずっと見守っていた。99日目の夜、兵士は立ちあがった。椅子を持っていってしまった」
アルフレードがここまで話したのを聞いて、トトが意外な顔をして訊ねる。
「最後の日に?」
「最後の日にだ」と言ってアルフレードが締めくくる。
「話の意味はわからない。わかったら教えてくれ」
参照:「99日目の夜」その後 - ほぼ日刊イトイ新聞
ちびっこのとき、「はぁ? 兵士ばかじゃね?」と思った。しかし、大人になって「なるほどな」と思った。人には、「映画を観るべきタイミング」というものがあるようだ。
かつて観た映画を、今もう一度観ればきっとまったく異なる感想を抱くだろう。時間ができたら、かつて理解できなかった作品に挑戦してみたい。
感動する映画!10人中9人が涙する5作品からぼくが学んだこと、まとめ
机の上に立って放屁をすることにより、米国の刑務所に収監され、刑期の一日前に脱獄して1,000点ゲットする映画を作ったら、めっちゃ感動すると思う。