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サウスポー:ピンク・レディー - ぼくの人生に影響を与えた一曲 vol.001

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【投稿者】

30代 男性

【人生に影響を与えた理由】

今は、1人1曲、100人が100曲のヒットを作る。しかし、かつて阿久悠は、1人で100曲の大ヒット曲を作っていた。そんな彼の才能に、ぼくは憧れる。昭和の大ヒットメーカーとして業界に君臨する前、彼もまた挑戦者であった。作詞家を志したとき、阿久悠は15のルール「作詞家憲法15条」を自分に課す。これまでの延長ではなく、革新的な作品をつくりたい、彼にはその決意があった。13条の「歌にならないものは何もない。たとえば一篇の小説、一本の映画、一回の演説、一周の遊園地、これと同じボリュームを四分間に盛ることも可能ではないか」を体現した作品がある。ピンク・レディの「サウスポー」だ。王貞治をイメージしたホームラン王に挑む投手のドラマ。圧倒的な王者に、ひるむことなく、果敢に挑戦する「女性ピッチャー」。勝つ見込みのない状況でも、負けないという強い思いが作品から伝わってくる。驚くべきは、1番2番3番と通じて心理描写がつづき、アクションがほとんど発生しない点。振りかぶって、投げようとするその一瞬が歌になっているのだ。これだけドラマチックな展開だが、投球の直前で歌は終わる。打たれたのかどうかは分からない。阿久悠の歌詞には、そのような実験的、挑戦的なものが数多く存在し、数十年にわたって人の心を鷲掴みにしている。ぼくは、今日も満員電車の中で「サウスポー」を聴き、心を奮い立たせている。

阿久悠の作詞家憲法15条

  1. 美空ひばりによって完成したと思える流行歌の本道と、違う道はないものであろうか。
  2. 日本人の情念、あるいは精神性は「怨」と「自虐」だけなのだろうか。
  3. そろそろ都市型の生活の中での人間関係に目を向けてもいいのではないか。
  4. それは同時に歌的世界と歌的人間像との決別を意味することにならないか。
  5. 個人と個人の実にささやかな出来事を描きながら、同時に社会へのメッセージとすることは不可能か。
  6. 「女」として描かれている流行歌を「女性」に書きかえられないか。
  7. 電信の整備、交通の発達、自動車社会、住宅の洋風化、食生活の変化、生活様式の近代化と、情緒はどういう関わりを持つだろうか。
  8. 人間の表情、しぐさ、習癖は不変であろうか。時代によって全くしなくなったものもあるのではないか。
  9. 歌手をかたりべの役からドラマの主人公に役変えすることも必要ではないか。
  10. それは歌手のアップですべてが表現されるのではなく、歌手もまた大きな空間の中に入れ込む手法で、そこまでのイメージを要求していいのではないか
  11. 「どうせ」と「しょせん」を排しても、歌は成立するのではないか。
  12. 七・五調の他にも、音的快感を感じさせる言葉数があるのではなかろうか。
  13. 歌にならないものは何もない。たとえば一篇の小説、一本の映画、一回の演説、一周の遊園地、これと同じボリュームを四分間に盛ることも可能ではないか。
  14. 時代というものは、見えるようで見えない。しかし時代に正対していると、その時代特有のものが何であるか見えるのではなかろうか。
  15. 歌は時代とのキャッチボール。時代の飢餓感に命中することがヒットではなかろうか

【音楽】

サウスポー [EPレコード 7inch]


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